夢のゆめの甲子園2017〜15〜涙の数だけ強くなれるよ

今日、宮城県代表が仙台育英学園に決まって、3839校が参加したこの大会において49校の甲子園出場校が出揃った。

優勝候補と期待されたチームが思わぬところで敗れ去ったり、まったく勝ち目がないと思われたチームが予想通りのコールド負けを喫したり、何年も阻まれ続けた壁を打ち破ったり・・・・

将来を嘱望されドラフト候補と言われる投手に草野球に毛の生えたような打者が立ち向かう。当然打てる気配はない。だが・・・・・

その打者が振り遅れて何とかファウルとなったことだけでも彼にとっては一生の宝物になるかもしれない。あの投手と対戦経験があること、バットにボールが当たったこと・・・・

私の知る友人の一人に作新学院時代の江川さんを相手に打席に立ったという人がいる。3球三振だったそうだ。ボールが見えなかったとも言っていた。それでも・・・

ほとんどの高校球児は3年生の夏に野球をやめる。苦しかった練習や恥ずかしかったエラー、それでも駆け寄ってくれた仲間の励まし、そして、何よりも楽しかったチームメイトと過ごした2年と4か月・・・・

選手たちのレベルには大きな差がある。練習レベルも取り組み姿勢も、そして与えられた環境も学校によってまったく違う。本気で全国制覇を目指しているチーム、何とか甲子園出場を目指すチーム、予選で何とか1勝したいというチーム・・・・

しかし、そんなに差があってもみんな同じだ。

涙の数だけ強くなれるよ・・・

どこかの歌の文句じゃないが、人前で声を上げて泣けるなんてそうそうできるものではない。しかもそれは最愛の人を亡くしたなどということではなく、高校の部活である野球の試合に負けたというだけの理由でだ。

そこには強豪校も弱小校もない。将来野球を職業とする人は別として、そんな涙を流した人は、そんな涙をたくさん流した人は・・・・

そういう経験を高校生のうちにしているということ自体がその人の人生を豊かにする源泉だと思う。

野球をやめてからの人生の方がはるかに長い。その中で誰もがもっと苦しい時期を迎えるだろう。そんなときに・・・・

オレも高校時代は野球部だったんだよ・・・

えぇ?高校どこですか?

全然強くなかったんだけどさぁ・・・・

大人になってから元高校野球部員と出会ったら必ずこういう会話になる。たとえ弱小校のへたくそな選手であったとしても、そこに彼の少しばかりの誇りに嫉妬を感じ、わずかな尊敬を覚える。

いいな、高校野球って・・・・

いや、高校野球をやっていた人って・・・・・

試合が終わって泣きじゃくった選手、必死に涙を抑えていた選手、笑顔で涙する後輩を抱きかかえた選手・・・・

そんなボクの大好きな高校球児たちの大会は終わった。

ボクは年齢を重ねるが、高校球児はいつも同じだ。毎年一つずつ年齢差は広がっていく。しかし、同じ涙を流すことでその差は広がらない。

ありがとう、今年の高校球児たち。来年もまた一緒に熱い涙を流そう・・・・