カーズ/クロスロード

カーズ/クロスロード鑑賞完了。

本当は8月に有休取って、平日にこどもたちと見に行こうと思っていたけれど、

ふと、公開後すぐの三連休に見に行った園の子たちから、

子ども経由でネタバレするかも!!と気づき、

急遽日曜日の席を抑えた。

初映画体験で、暗さや大きな音に怖がるかも、と危惧していたけれど、

カーズ好きの二人は最後まで座って見ていてくれた。

そして、私の選択は正しかった。

見る前に結末を目にしていたら、耳にしていたら、

死ぬほど後悔していたと思う。

こんなに映画の公開を楽しみにしていたのも初めてだったけれど、

映画を見てこんなに悲しくてしょうがないのも初めてだった。

〜、〜、と、どうしようもなく嗚咽が漏れる口にタオルを押し当てながら、

涙が止まらない目で呆然とスクリーンを見つめていた。

疲れ果て、帰宅後、ひどい頭痛がして、横になって一休みした。

その後彼と、奥田民生が歌うエンドソングに聞き入ったり、

次々投稿される映画評レビューを一緒に読んだり

時々思い出したように語り合ったりして、

そうやって1日過ぎたあたりで、やっと、落ち着いた。

もともと月末には有休を取って、一人で、最低二回は見る予定にしていた。

それまでの時間に、いろいろなことを考えて、きっと感想は変わっていると思う。

今の感情を残しておきたいため、以下に記録する。

以下、盛大にネタバレ

年明けから公開され始めたティーザー予告では、

洗練されたボディラインのニュージェネ世代、ジャクソン・ストームの登場、

アナリストの冷徹な、「マックィーンの黄金時代は終わりました」の声、

勝てない主人公のライトニング、

そしてショッキングなライトニングのクラッシュシーンがスローモーションで流れた。

様々なトレーニングに励むライトニング。

その時点では謎の存在の声が、

「スピードでは奴には勝てない、でも賢こさで勝つことができる」と語る。

レースに挑むライトニングの闘志に燃える眼差し、

「Im comin for you, Storm...」の呟き。

何パターンか公開されている予告は、多少演出を変えつつも大体このような構成だった。

勝てないライトニングと、ストームとの対決とを強く意識させた。

人生の選択が迫られる。

夢の続きか、新たな人生か。

このキャッチフレーズも、引退するのか、このままレースに挑み続けるのか、

という意味だと思っていた。

そして、最終的に引退を選んだとしても、力を振り絞ってレースに挑んでくれると、

固く信じて疑わなかった。

でも、ライトニングが次世代にバトンを渡したのは、走りきったレースの後ではなく、

自身の最後のレースになるかもしれない、そのレースの真っ只中だった。

映画の始まり、ライトニングは快調なレースを続けていた。

ライバルたちとの楽しそうな会話。それは1で見せていた、自己中心的で、

レースに呼ぶ友達1人もいなかった孤独な姿とは違い、本当に幸せそうだった。

しかし、シーズン途中で彗星のごとく現れた、新世代機のジャクソン・ストームに軽々と抜かれ、

トームに勝とうともがくうちに、周りのレーサーもどんどん新世代機と交代・引退に追い込まれ、

じわじわと嫌な雰囲気が漂い始める。

そしてその苦闘が無理となったのか、レース途中でタイヤがバースト、

ライトニングの車体は宙に舞った。

大クラッシュ後、スポンサーのラスティーズ社を創設したダスティ・ラスティ兄弟は、

ライトニングのために最新設備の整ったレーシングセンター(トレーニング施設)を作るため、

会社を売った。そしてその施設でライトニングのトレーナーとなった若いヒスパニック系の女性、

クルーズ・ラミレスと出会う。ランニングマシーンやレースシュミレーターでの練習に

馴染めないライトニングは、新しい経営者からレースを引退して、自身がマスコットとなる

たくさんの商品の広告マンになるように勧告されてしまうが、自分の引き際は自分で決めたい、

あと1戦だけチャンスが欲しい、その1戦に勝てたら、引退時期を自分で決める、と

食い下がった。願いは聞き入れられ、その1戦に備えるため、実車での練習に挑もうとするが、

練習の足手まといとなってしまうクルーズのトレーニングに注力するハメになる。

次の練習地に向かうトレーラーの中で、「どうして黙りこんでいるの?」と聞くクルーズに、

「貴重な一日が無駄になった、君はレーサーじゃないから僕の気持ちは分からないんだ!」と

ライトニングが怒りを向けると、クルーズはトレーラーから降り、

「私が最初からトレーナーになりたかったのかって聞いてみて!

あなたに憧れてた、ずっとレースカーになりたかった、でも、初めてのレースで

エンジンスタートした時に分かったの、他の車に勝てやしない、私はレースカーじゃないって」と

傷ついた心をぶつけた。

その後、今は亡きライトニングの師匠、ドック(1に出てきている。2の公開前に

声をあてたポール・ニューマンが死去したため、2では故人の扱いとなっている)の

故郷に向かい、ドックのクルーチーフを務めたスモーキーの特訓を受ける。

ドックはシーズン最多勝記録を誇る伝説のレーシングカーだったが、

大クラッシュ後にスポンサーから見捨てられ、田舎町に身分を隠して過ごしていた。

「俺はまだ走れたのに、チャンスを与えられなかった」と苦々しくライトニングに

心情を吐露していたことをライトニングは鮮明に覚えていて、

ドックの晩年は本当の意味で幸福ではなかった、と思っていたが、

そんなライトニングにスモーキーは見せたいものがある、ととある建物に連れ出した。

そこには、沢山の手紙、そしてドックとライトニングが写った写真がたくさん貼られていた。

「あいつがクラッシュして引退したあと、ずっと音信普通だったが、50年たってから

手紙と写真が届くようになった。すべて君とのことばかりだ。君との出会いがあいつの人生に

また意味をもたらしたんだよ」

「もう君は以前のようなレースはできない。スピードでは奴には勝てない。

でも、賢こさで奴に勝つことはできる」と言うスモーキー二より、様々な練習を積んだが、

勝負のレースに出発する直前の練習で、当て馬として一緒に走っていたクルーズに

ゴール前で抜かされてしまい、茫然としたままトレーラーに向かうライトニング。

予選(確か…。)に出場してこなかったライトニングは最後尾でスタート、

途中まで粘りのレースを見せるが、どういうきっかけだったかは忘れたけれど、

経営者はとうにレーサーとしてのライトニングに見切りをつけており、

ピットで応援しているクルーズに向かって「こんなところで何をしている、

早くトレーニングセンターに戻れ!●●(他の練習生)にトレーニングをつけろ!」と命令。

クルーズは渋々レース会場を後にするが、無線でその様子を聞いていたライトニングは、

レース会場を出ていこうとするクルーズの後ろ姿を目にし、逡巡(していたと思う)。

そして、彼女を会場に呼び戻し、故郷・ラジエータースプリングスから応援に来ていた

ボディ・ペイント・アーティストのラモーンに、自分の番号である「95」を

クルーズのボディに描くよう指示。「でも!!マックイーンさんの最後のレースでしょ!」と

驚愕するクルーズに、「ああ、最後のレースだ、でも君にレーサーとして走るチャンスを

上げられる最後の機会でもあるんだ!」と説得。

自分のクルーチーフを務めてくれたスモーキーと交代してヘッドセットを付け、

混乱のままコースに出るクルーズに、共に積んできた練習の極意を思い出させるライトニング。

次第に、自信と、持ち前の明るさを取り戻したクルーズは、とうとう先頭集団に食い込んでいく。

クルーズの快進撃に焦ったストームは、クルーズを動揺させようと、

「ここはお前のいる場所じゃない」と戦意喪失を狙い、

うまくいかないと悟ると、コース壁面にクルーズを押し付けてクラッシュさせようとする。

「いいえ、ここは私の居場所よ!」と宣言したクルーズは、かつてドックが使った、

相手の車の上に乗り上げ、自分ボディを回転させて壁面を回避する技を使い、

トームを除してトップに踊り出、そのままゴール。優勝した。

レースのルールには途中交代については触れられておらず、ナンバーをつけて走ること、

のみとなっていたため、優勝者にはクルーズとライトニングの名前が並べられ、

これがライトニングの最後のレースとはならず、「自分で引き際を決める」権利は残された。

「素晴らしい!うちのレーサーになってくれ!」とさっきの冷酷な態度から調子よく変わった

経営者の横から、1にも登場した、レースの主催者でもあるダイナコ石油の社長が、

「クルーズ、是非うちと契約してほしい。そしてスタンレー(経営者)、億万長者同士の話をしようじゃないか」

と、経営者を連れ去る。(1で、ダイナコの社長はライトニングに対して恩義を感じており、

「できることがあったらなんでもしてくれ」と申し出ていた経緯あり)

クルーズはダイナコ石油と契約、ライトニングのスポンサー、ラスティーズは、

ダイナコ石油に買収され、ダイナコ石油の庇護のもと、ライトニングは、

レースを諦めたわけではないけれど、新しいことに挑戦したい、と、クルーズのクルーチーフと

なったようだった。

彼のトレードマークである真っ赤なボディに変え、ドックと同じブルーのペイントに、

ドックと同じように「FABULOUS McQueen」と書いたボディで、故郷ラジエーター・スプリングスで

皆に見守られながらクルーズとレース(練習)をする、というラスト。

ただただ、悲しかった。

こんな結末が見たいのではなかった。

ライトニングの選択が、受け入れられなかった。

どんな結果であっても、最後まで、全力で走り切ってほしかった。

最後の一戦に向けての練習がいろいろと遠回りすぎたけれど、

それはすべてライトニングの選択に向けての伏線だった。

思い込みが強すぎて、伏線に気付かず、ただただ嫌な予感めいたものと、焦り、不安、

でも、ライトニングなら全力で勝負してくれる、と信じ抜いていたのに、

その姿が見たくて半年以上待ち続けたのに、と、とてもじゃないけれど、

ショックが大きすぎた。いずれ後進指導の立場になるのだろうとは思ったけれど、

自分のレースを捨ててしまうそのタイミングだなんて。

今思うと、ストームとの対決を煽る予告映像を何度も見たせいで、

そんな話なのだという勝手な思い込みも強すぎたのだと思う。

てか、ストームちょい役すぎ!

デザインもクールだし、圧倒的な強さだし、敵キャラとしてとても魅力的だったから、

もう少し出番と、キャラクターとしての掘り下げが欲しかった。

序盤登場後はもう出番なし、最後のレースではクルーズ相手に小者感満載。

ぶっちぎりで走りぬけばいいこと。

そして最後のドックカラー(青)になったライトニング、死ぬほど似合ってない。

これが、トレードマークである赤に「FABULOUS McQueen」て書いてあるんだったら、

まだ納得いくんだけどな。

しかし邦題の「カーズ/クロスロード」のクロスロードって…。

ラセターさん(今回は監督ではなく、総指揮)も気に入っていたみたいだけど、

人生の岐路ってだけじゃなく、そういう意味だったんだ…と。

ここまでが、映画を見た直後の感想。

ピクサーの映画は、誰のものなのか。

2006年に1が公開されてから11年経過していることになる。

保育園児の母親である私は、下のクラスの小さな子達にもどんどんカーズファンが

増えてきたのを目の当たりにしている。カーズトミカも、カーズ3公開なんて関係なく

コンスタントに新作が出ている。

映画のレビューには、「劇場は子どもも多かった」みたいな表現も

ちょいちょい見かけたけれど、それはそうだ、小さな子ども(特に男の子)にとって、

ライトニングはずっと現役の、無敵のヒーローなのだ。

うちの双子たちは幼すぎて、話の本質をよくは分かっていないけれど

「どうしてクルーズ・ラミレスはジャクソン・ストームに勝ったの?」と

毎日のように聞いてくる。

子どもたちがライトニングの心情を理解できる日は、ずっとずっと先だろう。

彼らにとっては、ヒーローがヒーローじゃなくなった映画だったと思う。

大人にとっては、いずれ何かで経験する世代交代、次の世代に何を遺せるか、

継承に生きる意味ということを考えさせられる映画なのだろう。

が、私は子どもたちと同じ目線でこの映画を楽しみにしてきたために、

子どもと同じようにショックを受けた。

ピクサーの映画は、子どもたちに夢や希望を与える存在という思い込みがあった。

でも多くの人が、そう思っていると思う。

本作が「ピクサー最大の衝撃」というキャッチコピーをつけられていたけれど、

とうとうそんな方向にも舵を切ったのか、と思った。

いや、そんな映画をピクサーが作ってもいいだろう。

でも、それはカーズでやることなのか?

以下、今回ラセター監督から本作の監督を任されたフィー監督のインタビュー。

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http://getnews.jp/archives/1839375

―映画大変楽しく拝見しました、素晴らしかったです! “衝撃のラスト”のキャッチコピーどおり本当にラストの展開には驚かされました。こうしたシナリオに対して反対の声はありませんでしたか?

ブライアン監督:ストーリーについては何度も何度も練り直しているし、皆が愛しているマックィーンがどの様な姿を見せるのかというのはとても慎重に議論した。僕だって彼のことが大好きだから。でも、マックィーンの成長とこれまでの軌跡をどの様に見せるべきか考えた時に今のストーリーとなったんだ。完成した映画とも違うラスト、おそらく皆さんが想像するもう一つの方向のラストというのも考えたのだけど、それではピクサー映画としての驚きや新しさ、伝えたいメッセージがぶれると思ったんだ。

映画をご覧になっていただければ皆さんに感じていただけると思うのだけど、本作でのマックィーンは人間でいうところのアスリートの立場なんだ。1作目で最速のレーシングカーだったマックィーンにとっての壁はどういうものになるのかということを考えた時に、やっぱり年齢、年を取るということだと思ったんです。時間は戻せませんし、若さは戻りません。魔法のような解決策は存在しないので、アスリートは誰しもこの壁につきあたります。それは他の職業の方にもあてはまることですが、より顕著なのがアスリートだと思ったのでそういう見せ方をしています。

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うーん。魔法のような方法で勝ってほしかったわけじゃないんだよ。

ライトニングには、負けてもいいから(いや、できれば勝ってほしいけど)

頑張りぬいてほしかったんだよ。勝ち負けよりもその姿に勇気をもらいたかったんだ。

ていうか、トレーナーに過ぎなかったクルーズが優勝しちゃう方が魔法ちゃうんか?!

いくら、ライトニングと一緒に練習したって言っても、そして本来は才能があったのだとしても、

練習ちょこっとしかしてませんからね?!

これでクルーズが上位入賞という結果であればまだ納得がいく。

他の新世代機とも一線を画すスピードのストームに競り勝つなんておかしいでしょ。

そして、ドックとライトニングの絆という流れでみたクルーズとの関係性ではなく、

クルーズ自身との絆の描かれ方が弱いのだと思う。

もっと、クルーズが愛すべき存在なら(個人的にあまり魅力的なキャラでない。)、

ライトニングの選択にも納得感があるのかも。

でも。

誰よりもライトニングが、最後まで走り抜きたかったはず。

ドックが自分の成長の中に生きる希望を見出してくれたことを知って、

落としどころが出来てしまったんだよね。大きな流れの中で

自分の果たす役割を見つけたんだよね。

予告で言っていた「ようやく見つけた、自分が進むべき道を!」って、そういうことだったんだね。

1では「タイヤ替えるクルーくらいすぐに見つかるからさぁ!」って、

支えてくれるクルーたちに感謝すらできなかったあなたが、

自分ではない存在のために、大事な大事なレース人生の最後にした選択を、

私は理解し、受け入れたい。

あとはあれだ、クルーズの立場になって、ライトニングからいろいろ教えてもらう気分を

楽しむ鑑賞回も楽しそうかも。ライトニングに導かれたい!

なんだかんだいって、こんなに私の人生に侵略し、

実際の存在のように愛したり、いろいろと考えることができる存在を作り上げるピクサーって

やっぱりすごい、ということですな。

うん。あと2回は、ライトニングの心情に寄り添い、そのまたあと1回はクルーズ気分で、

そして最後に4DXで感動(したい)と興奮の総仕上げや!!